半纏の染め方を一緒に勉強しましょう。
半纏は、江戸時代に庶民の間で作られたのが半纏です。当時上方の武家社会にあった法被(はっぴ)を江戸の庶民は作ることを許されず、自分たちで仕事着として、身体を動かしやすいのと同時に塵除け、ほこり除け、防寒用の上っ張りとしても重宝なものとして作られました。
生地に型をのせて生地の染めない部分に糊をつけて生地を折りたたみながら染める方法です。
印半纏とは、襟や背や腰に印=紋を入れて作る半纏です
印半纏の中には、火消し半纏、店半纏(たなばんてん)、職人半纏、寺社半纏、講半纏などがあります
印半纏は、組や集団で同じデザインのものを身にまとい、実用的なものから、一首の精神性、誇りを強くもつように発展していきました。
印によって、何組の、どんな役目の者かが、直ちに分かります。火事場という非常に混乱した状態のなかで、命令系統をはっきりさせ、整然と一糸乱れぬ集団行動をとって、迅速に火に立ち向かうためには、自分の属する組と他の組とを区別し、また同じ組のなかでも何の役目であるかが誰にも瞬時にわかるようにつくられていなければなりません。その要求に答えたものが鳶の火消し半纏です。
職人達がお店(おたな)と呼んだ、大きな商家や医師、地主が使用人と出入りの職人、大工、左官、鳶、畳屋から、植木屋、魚屋、八百屋などにお仕着せとして配った半纏です。
職人自身が大工とか瓦屋、材木屋という風に自分たち自身の職業や屋号を染めて着ていた半纏です。
寺や神社で使った半纏です。
神社や仏閣への参詣や奉賀などの目的の為につくられた半纏です。
印半纏以外の半纏には、ねんねこ半纏、袖のない亀の子半纏、皮半纏、変わり半纏があります。
半纏の染め方には、反応染め、硫化染め、藍染、松煙染めなどがあます 松煙染めは、松煙染めのみで染めることもありますが、反応染めや硫化染め、藍染の下地として染めます。松煙染めを下地に使いますと、生地がパッキとシャッキッとした染め上がりに仕上がります。主に江戸前(関東地方)の鳶さんに好まれる染め方といわれています その他、半纏の染めの下地には、デカシ染め(引き染)などがあります。 半纏を染める手助け的な役割として、筒描き、差し色、手捺染(てなっせん)などの技法が古くから伝わっています。
半纏の生地と染料が化学反応を起こして結び合って染まっていくことでこの名前が付いたそうです。
歴史的には古いものではありませんが、木綿を染めるにはとても丈夫な染め方と言われています。
鮮やかな風合いでカラーバリェーションに富み、現在の半纏を染める主流を占めているようです。
硫化染料は薬品を入れることで初めて水に溶け、その液体の中に半纏をつけた後に空気に触れて酸化し、発色して染まります。
硫化染めの主な特徴は、やわらかい風合いで、少し濁った色や濃い色を出すことができます。
硫化染めの見分け方ですが、半纏生地の裏を見ると一目でわかるそうです。
現在は、反応染めが出てきてからこの染め方はあまり見られなくなりました。
藍染めの半纏は、化学薬品を一切使わず、自然界からとれる原料のみを用いるため、半纏やそれを身につける私たちだけでなく、環境にとってもとても優しい染色方法といわれています。
藍染めの半纏は、虫などを寄せ付けにくいことから、外作業をされる植木屋さんや大工さんなどが愛用され、仕事のお役にたっています。
余談ですが、使い終わった藍染めの染料は畑に肥料としてまき土地に帰ります。エコ時代の現代において見直されつつある古くから伝わる半纏の染めといえます。
藍染の半纏は、下染めとして松煙染めをした後に染めることが特徴のひとつです。
松煙染めは、松煙に豆汁(ごじる)を混ぜて刷毛(はけ)で引いて染める手法です。
松煙は、染料ではなく顔料なので布に定着させるために豆汁をまぜて使うそうです。
また藍染の半纏などは、松煙染めをした後に再び数回染めることもあります。
デカシ染めは、松煙以外の顔料に豆汁を混ぜて刷毛(はけ)で引いて染める手法です。
余談ですが、江戸(関東)では松煙に豆汁を混ぜたものもデカシ染めというそうです。
デカシ染めの特徴は、パリとシャッキッとした江戸前の半纏に仕上がります。
印半纏を作るときには欠かせない手法といえます。
渋紙を円錐形(えんすいけい)にした筒のなかに糊を入れて絞り出しながら布の上に書いていく手法です。ケーキのデコレーションをイメージしていただくと良いと思います。
衿、大紋、その他の柄に対して朱や弁柄を入れるときに小さな刷毛を使い、手で差し染める技法をいいます
応用としてボカシを入れることもできます。
ハンドプリントの事で、写し染めとも言われます。
一色ごとに型を作り色糊をヘラで刷り込むことによって生地に色を浸透させる方法で、生地に裏表があります。
細かい柄や多色使いの表現ができデザイン性の高いものが作ることができます。
比較的コストが安くなります
実際の半纏の染め方には、主に分けると柄を染めることと、印を染めることの2つに分かれます。
半纏の染め方には、地染め、総柄、袖繋ぎ(そでつなぎ)などがあります。
後から出てきます、印の染めとは染めの意味が違ってきます。
柄は模様で、印は自分(自分たち)を現すものとお考えになるとわかりやすいと思います。
半纏の地の色を染めます。
半纏全体に柄を施したもので主にネズ引き染めをする半纏に多い柄です。
肩から袖口に走る柄が袖繋ぎ。
大紋(だいもん)・・・背中の一番大きな柄です。
衿字(えりじ)・・・前の衿に付ける柄です。
腰柄(こしがら)・・・前と後ろの腰部分に付ける柄です。
控紋(ひかえもん)・・・前の胸の上に付ける柄です。
天柱紋(ちりけもん)・・・後ろ衿の中心に付ける柄です。
印の文字は、江戸文字(龍文字・江戸文字・江戸勘亭流・寄席文字・角文字など)があります。
印の文字の形状は、基本的には日向(ひなた)と影(かげ)で作られています 日向は、半纏の印を地色に白く抜くことをいい、一般的には白抜きといいます 影は、半纏の印を地色に輪郭線だけを白くしたものです。 その他、印(文字や紋)に差し色を差すこともあります。
大紋内部の地の色を鏡といいます。
江戸時代の火消しは、鏡に朱をさして火消しであることを半纏でわかるようにしていたそうです。
また、深紫や深紅は僧侶、殿上の人々だけに使える色で禁色とされているそうです。